2008年 表銀座縦走

(燕岳〜大天井〜常念岳〜蝶が岳)

山小屋(自炊)利用

記:青田哲郎
メンバー 青田 友人(女性)
行動概略
4月25日 20:30 成城学園出発
  26日  1:30 三股駐車場(仮眠)
  26日 6:30 タクシーにて中房温泉、730燕岳登山口出発〜1130燕山荘 
  27日 風雪強く縦走断念 沈殿 燕岳ピストン
  28日 720出発〜1000大天井登り〜1100大天井頂上〜1330常念小屋到着
  29
日 530出発〜630常念岳頂上〜850蝶槍手前ピーク〜1000蝶ケ岳山荘〜1300三股駐車場〜ホリデー     湯経由 東京 1830

行程記録
26
天気予報では午後より雨との事、毎年この時期の入山日は荒れるのが通常となっている、5月の声を聞くと同時に山はがらりと様相を替え春山らしくなるのだ。中房からすぐ雪の樹林帯を登る、第一ベンチがかろうじて判ったが第二、第三ベンチなど雪の下で分からず適当に休憩をとる、合戦小屋で小休止後視界の無い合戦尾根を登る、尾根に出た瞬間から猛烈な風と雪が襲う、1時間ほどの行程だが小屋は見えず風が吹く付ける側の半分が凍り付いてくる。やっと雪煙の向こうに小屋が見えほっとする。     

27日
 朝から風雪激し、夜中にテントを壊された人が小屋に緊急避難をしてきたぐらいである。当然早々と縦走は中止とする。9時ぐらいになると相変わらず風は強いもののどんどん晴れてくる。小屋でじっとしているのも飽きてくるので強風の中、燕岳まで空身でピストンをしてくる。
27日10:50 燕岳を後に 27日燕岳頂上から大天井を指す
 小屋に帰ると単独の方がこれから縦走を開始するとの事、いろんな人がいるものである。夜、恒例の燕山荘主人(赤沼氏)の話が始まり常念まで縦走路は40年ぶりに積雪が多く、特に例年雪が付かないでこの時期には地面が露出しているはずの高瀬川側にべったりと雪が付着して危険だ!大天井の登りがアイスバーンになっている上、強風が吹き付ける場所なので十分注意しろ!少しでも転んだらアウトだ!と宿泊者全員をこれでもかと脅しつける。それでも楽観的に考え明日風が収まる事を期待しつつ早々と就寝する。それにしてもこの小屋はテント派を自称する自分でもいろんな意味ですばらしい小屋と思う!
27日 小屋前より縦走路と槍 27日朝 風雪の燕岳
28日
 快晴!ただし風は強い、縦走を計画していたほとんどの人が中止したようである。友人は昨夜の話と強風で半分やる気をなくしているが蛙岩まで行ってだめなら引返そうと説得し出発する。いつもはまったく安全な尾根道が両面クラストした雪に覆われちょっとしたトラバースルートにも神経を使う、途中強風を避けるように岩陰で縦走を続けるか迷っている男性二人を追い抜く。蛙岩の真ん中を抜けるルートが冬道のはずだか雪が詰まっておりそんな道は見えもしない、薄いトレースが岩の左側にあるがいったん岩の外に身を乗り出してよじ登るしかなくロープを持ってこなかったことを後悔する。後日、429日に燕山荘のスタッフが2時間半かけて掘り出したとホームページで知った。もっと早く掘ってほしいもんだ!
28日 11:00 大天井頂上 28日 8:00 蛙岩前
 とにかく何とかそこを通過する事が出来きはしたがそれは引返す選択肢をなくした事に過ぎない。核心の大天井登りまで、とにかく気の抜けない縦走が続くのである。いよいよ大天井の登りに取り掛かる。手前の切通し岩鎖場の鎖は雪に埋まっていた。登りはとにかく下を見ないようにひたすら自分のアイゼンを信じて登る。時々強い突風が襲ってくる、前を登る友人の体が浮きそうになるのを片手で押さえたりしたが最後は突風体勢をとったまま必死にじりじりと上がるしかなくなる、下を見ると巨大な雪の滑り台が見えぞっとする、それでもなんとか登り切る。それからの道は多少の危険があるにしろ風もうそのように無くなり今までとは比べ物にならず、さくさくと歩みを進める。途中大天小屋で休憩するが冬季小屋の入り口は完全に埋まっていた。
28日 8:46 28日 9:00 尾根道
 気持ちの良い縦走路が続き、常念小屋が見え始め、その向こうに常念岳が毅然とそびえてくる景色を、余裕を持って眺める事が出来きている事に気が付く。常念小屋では皇太子、雅子様が食事をされた部屋で槍ケ岳を見ながらビールで乾杯する、偶然燕岳での単独縦走者に出会う。冬季小屋には泊まれず小屋横でビバークし、たまたま縦走途中で小屋横にテントを張っていた夫妻と一緒に小屋に泊まっているとの事だった。お互いが命拾いした戦友のような気持ちになり、来た道のことやらで話が弾んだ。結局昨日と今日で縦走できたのはわずかな人数のようだった。明日は蝶ケ岳経由で帰京する為早出にする事に決定。
29日 6:30 朝の常念岳頂上 29日 8:00 後ろに常念 シュカブラ
29日 9:30 穂高を枕に  蝶尾根にて 29日 11:00 蝶の小屋と常念岳
29日
 快晴微風 530出発 いきなり常念岳の急登となる 先に昨日の夫妻が見える。途中4本アイゼンとストック装備の若者二人が下山できずに立ち往生している、登ったものの下りで怖くなったのだろう、冷たい様だが雪が柔らかくなるのを待つしかないなと言い置いて又ひたすら登りつづける。

頂上では朝日を受ける穂高の峰々を見ながら去年は向こうからこっちを見ていたんだなと感慨にふける。常念岳の下りは朝早い為雪がカリカリでアイゼンは良く効く、しかし岩とのミックスでほんとに怖い下りだ!蝶槍の手前ピークで完全な春山服装に切り替える、アイゼンは履いたままだがピッケルはザックに付ける。蝶槍を登りきりほんとに気持ちいい蝶の尾根筋をのんびり歩く、いつもだと土が露出していてなんとなく汚い尾根も真っ白な尾根がずっとつづいている。途中広い尾根で友人が寝転んで正に「穂高を枕」に写真を取る、なんと贅沢な事だろう今までの苦労が報われるようである。もう二度とこんな景色は見られないかも知れないな、、、そんな事をぼんやり考えながらずっと続いてほしいこの尾根を歩いて行った。

29日 常念岳下り 29日 常念岳よりいきなりの下り
遠くには八ヶ岳
29日朝 朝日を浴びる常念岳

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